2012年10月9日火曜日

「精進」

先日菅平で行われたジュニアユースの大会での事です。
この大会は群馬県と長野県のクラブチームの交流大会です。
大会独自のルールで主審は割り当てられた当該チーム以外のコーチや帯同審判が務めますが、副審はそれぞれ当該チームから1人づつ担当します。
資格のない選手がやってもいいということで、ほとんどがベンチのサブ選手が務めていました。
つまりは自分のチームの副審をやるということです。
3日間の大会で主審が3回、ゲームに入る前に中学生の副審に「自信持ってやって」とアドバイス、入場前の両チームプレイヤーには「副審は審判の経験もないのだから抗議や不満な態度等はしないでね」と一言かけてから入場しました。
今大会で群馬県と長野県のチームのゲームをレフェリングした時の事です。
試合の結果がそのまま順位に関係してきますので、両チームとも開始から激しいプレーが展開されます。
まあ仮にAチームとBチームとしましょう。
お互いに激しいチャージが行われますがチョット内容が違います。
Aチームは身体や腕を使って相手を抑えようとする、Bチームは手で相手の身体やシャツをつかんで抑えようとしていました。
僕がレフェリングの基本としているのはファールされていても続けようとしている時はあえてファールを取らないということ。
まあシチュエーションにもよりますが。
ただし今回のようにBチームの手で掴むという行為は迷わず笛を吹きます。
腕で相手を囲ってしまうようなものももちろんです。
闘争心による激しいぶつかり合いは大いに結構!ですがやはりルールというものがあってのものですからどこかで線引きしないと格闘技になってしまいます。
今のサッカーにおいてルールブック通りに進めるとゲームが流れなくなるでしょう。一瞬手で相手を掴んでもバランスを崩さなければ取りませんよね。
このゲームでは必然的にBチームのファールを取ることが多くなりました。
それ程悪質ではないファールは均等に取っていたつもりです。
しかしBチームはそんなレフェリングに不満があるようです。
私に聞こえるように「アウェーだわー」なんて言ってましたから。
一応その選手に「審判に言ってる?」って聞いたら「違いますよ」って、まあそう言いますよね。
相手を軽視するような言葉の応酬、激しいチャージの応酬で前半はAチームが僅かにリードして終了。
まだまだBチームが追いつく点差でもあるので後半はより熱くなる気配。
後半は開始からゲームコントロールを意識してかからなければと。
後半は早い段階から前半には取らなかったような軽いファールも取っていきました。
これは選手達にこの位のファールでも取られるんだという事を理解してもらうためのものです。
しかしBチームの「掴む」という行為は止まりません。
選手に対して「そこまであからさまに掴んだら次はカード出しますよ」と注意を与えます。
選手によってはそれで収まりました。
ところが先程のアウェー発言をした選手は熱くなった気持ちが収まらなかったのでしょう。
相手の背中に無意味に体当りをしてきました。
それまでも何度か注意を与えてましたがここでイエローカードを提示しました。
本人もやった事に自覚はあるはずなのですが、表情は不満全開です。
その間にもAチームは点差を広げていきます。
終了間際にはBチームの別の選手が相手に対してスパイクの裏を見せながらのスライディング。幸い相手との接触は避けられましたが、あまりにも危険なのでイエローカード。
その選手は「当たってないじゃん」と抗議、当たらなければファールじゃないわけではないと説明しましたがまたも不満全開。
そうしてゲームはAチームの勝利で終了しました。
その時点での私の胸中は特に問題はありませんでした。
最後の挨拶でお互いの選手は握手して終わってましたし。
しかしその後に続きがありました。
グランドの外の道路で迎えの車を待っていた時でした。Bチームの選手が前を通り過ぎる瞬間「あ〜あっ」と言いながら中指を立てて通り過ぎたのです。
その時までは単に「荒いチームだな」って思ってただけですが、ふと考えたんです。
確かにファールをしたのは彼らです、正当なプレーでない事も理解してるのでしょう。
ですがそれを冷静に考えさせてあげれるようなレフェリングが出来ていたのだろうか?
もっと早い段階からゲームコントロールしてあげて、もっと上手な言葉で接してあげれたら、彼らももっと楽しくサッカー出来たのではないかと。
私は正当で偏った笛は吹いてないと思ってはいますが、もっとお互いが周りも含めて楽しめたゲームに出来た可能性はあるんではないかと。
Bチームには申し訳ないですが大変勉強になった試合でした。
私も大した審判ではないですし、完璧だなんで思ってません。
もしかしたらつまらないゲームにした張本人は私だったのかも。
彼らも成長して欲しいし私も成長しなくては、今度もし彼らの試合をレフェリングすることがあったら彼らにも認めてもらえるようにお互い笑顔で握手出来るようにスキル向上を目指して精進しなくてはと思った1日でした。

と終わろうと思いましたが、ふと気が付いた。
悪いのは普段からそういう行為を黙認してる指導者だろ〜が!
精進せー!